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チョコレートのテンパリングの方法

お菓子のレシピ

チョコレートを扱う際に重要になるテンパリング。ここではいくつかのテンパリングの手法を原理を交えてご紹介します。慣れればそう難しい作業でもないので、必ずテンパリングをとるようにしましょう!中には電子レンジで溶かすだけといった簡単なテンパリング方法もあるのでぜひお試しください。

テンパリングとは

テンパリングとは、チョコレート中のカカオバターの結晶構造を整える作業の事です(カカオバターには6つの結晶の形があり、V型と呼ばれる結晶のみにする)。カカオバターの結晶はそれぞれ融点が異なるので、それを利用することで結晶構造を整えることができるんですね。テンパリングをすることで艶が生まれたり、口溶けが良くなったりします。逆にしないと、表面に白い縞模様のようなものが出たり、口溶けが悪くなったり、型を使うチョコレートだと型から外れなかったりします。おいしく、綺麗なチョコレートを作るにはテンパリングは欠かせません。

テンパリングのとり方

テンパリングを取るにはいくつか方法があります。カカオバターの結晶を全てV型にできれば、どんな手法でも極論構いません。やりやすい方法でやるようにしましょう。結晶を整えるということを頭に置いておくと、理解しやすいかもしれません。

水冷法……水を使ってテンパリングをとる手法。

①チョコレートをボールに入れ、湯煎で溶かす(50℃前後)→カカオバターの結晶が全て溶けた状態

②水を入れたボールに①のボールをつけ、冷却する(25〜26℃)→Ⅲ型とⅣ型がたくさん、Ⅴ型の結晶が少しできている状態。カカオバターは高温ほど結晶ができる速度が遅く、低温ほど結晶ができる速度が速いです。最も高い温度で結晶ができるのはⅥ型ですが、結晶ができる速度が遅いので、水で冷やすとほとんど析出しません。

③再び湯煎にかけ、チョコレートの温度を上げる(30〜31℃)→Ⅲ型とⅣ型が溶け、Ⅴ型の結晶に移行する。Ⅴ型の結晶のみ残っている状態。

~Point~

・この手法での温度上昇・降下は時間がかかるため、大量にチョコレートをテンパリングするのには不向きです。

・湯煎といっても激アツのお湯でやらない方がいいです。特に③の温度上昇の際は、温度が上がりすぎるとせっかく結晶構造を整えたのに、全部溶けてしまいます。50℃くらいの温度で温度を上げるのがベストです。

・チョコレートは油が主体でできています。水がほんの少量でも入ってしまうと、確実に分離します。水が入らないように注意しましょう。もし、万が一水が入ってしまったらガナッシュなどにして使うようにしましょう。

タブリール法……大理石を使ってテンパリングをとる手法。

①チョコレートをボールに入れ、湯煎で溶かす(50℃前後)→カカオバターの結晶が全て溶けた状態

②大理石に溶かしたチョコレートの2/3量を流し、パレットなどで伸ばしながら冷却する(25〜26℃)→Ⅲ型とⅣ型がたくさん、Ⅴ型の結晶が少しできている状態。水冷法とやっていることは一緒ですが、こちらの方が大きく広げられるので、よりチョコレートの温度が下がるのが速いです。また、結晶が作られるのに必要な圧力がかけられるので、結晶が成長しやすいです。

③②を①に戻し、チョコレートの温度を上げる(30〜31℃)。もし、温度が高ければ、②と③を繰り返す→Ⅲ型とⅣ型が溶け、Ⅴ型の結晶に移行する。Ⅴ型の結晶のみ残っている状態。

~Point~

・大理石にチョコレートを伸ばすので、大理石は衛生的に綺麗な状態を保つようにしましょう。

・チョコレートを冷やしすぎて、固まらないように注意しましょう。固まったものが入ると溶け切らず、ダマになって残ることがあります。

フレーク法(シード法)……刻んだチョコレートを使ってテンパリングをとる手法。

①チョコレートをボールに入れ、湯煎で溶かす(50℃前後)→カカオバターの結晶が全て溶けた状態

②溶かしたチョコレートの1/3量、細かく刻んだチョコレートを①に加え溶かす(30〜31℃)。もし、温度が高ければ、少量の刻んだチョコレートを加え温度を合わせる。温度が低い場合、湯煎などで温度を上げる。この時温度が32℃を超えないようにすること→細かく刻んだチョコレートがⅤ型の結晶となるので、Ⅴ型の結晶のみが残った状態。

~Point~

・チョコレートはすぐ溶けるように、なるべく細かく刻んでおきましょう。

・元となるチョコレートのテンパリングがとれていないと失敗します。市販のチョコレートはテンパリングがとれている状態なので大丈夫ですが、極端に時間が経過していたりしてテンパリングが外れているとこの手法は使えないので注意して下さい。

・結晶が成長しやすくオーバーテンパリングになり、粘度が出やすいです。

カカオバターを加える方法……細かなカカオバターを使ってテンパリングをとる手法。

①チョコレートをボールに入れ、湯煎で溶かす(50℃前後)→カカオバターの結晶が全て溶けた状態

②ボールごと水につけ、温度を下げる(30〜31℃)→どの結晶も存在していない状態。厳密に言えば、Ⅴ型とⅥ型の結晶が成長しようとしている状態。

③溶かしたチョコレートの1%量程度の、細かなカカオバターを②に加え溶かす(30〜31℃)→細かなカカオバターがⅤ型の結晶となるので、Ⅴ型の結晶のみが残った状態。市販品の粉末状のカカオバターを使用しても良いし、自分で刻んで入れてもいい。

~Point~

・カカオバターはすぐ溶けるように、なるべく細かく刻んでおきましょう。

・元となるカカオバターのテンパリングがとれていないと失敗します。市販品はテンパリングがとれている状態なので大丈夫ですが、極端に時間が経過していたりしてテンパリングが外れているとこの手法は使えないので注意して下さい。

・やっていることはフレーク法と一緒ですが、余分なカカオバターを添加することになるので、ほんの少しだけチョコレートの味わいが変化します。

・結晶が成長しやすくオーバーテンパリングになり、粘度が出やすいです。

電子レンジで溶かす方法……文字通り電子レンジを使ってテンパリングをとる手法。

①チョコレートをボールに入れ、電子レンジで溶かす(30〜31℃)。固形のチョコレートがぎりぎりなくなるくらいを狙って、500Wでとかす。最後は数秒ずつ電子レンジにかけて調整すること→ぎりぎり溶けてなくなる固形のチョコレートがⅤ型の結晶となるので、Ⅴ型の結晶のみが残った状態。

~Point~

・温度を上げすぎないように少しずつ溶かしましょう。ぎりぎり全て溶けて指定の温度になるようにして下さい。

・温度が上がりすぎてしまったら、諦めて他の手法にしましょう。(刻んだチョコレートを少量加えるなど)

・チョコレートは焦げやすいので、あまり長時間加熱しないようにして下さい。

・フレーク法同様に、元となるチョコレートのテンパリングがとれていないとこの手法は使えません。

・結晶が成長しやすくオーバーテンパリングになり、粘度が出やすいです。

恒温法……機械を使って一定温度に保ちテンパリングをとる手法。

①チョコレートをボールに入れ湯煎で溶かし、30〜31℃に保ち続ける。半日程度は保ち続けること→全ての結晶が融解した状態にし、Ⅴ型の結晶ができやすい温度にひたすら保つことで、5型の結晶のみを成長させる。

~Point~

・当然ですが、機械がないとほぼできません。手作業でやるなら超大量に仕込めばできます。機械はエフェクター、インキュベーター、低温調理器など温度を設定できるものを使用しましょう。撹拌も同時にできるとベスト。

・テンパリングを取るのにとても時間がかかりますが、失敗はまずありません。少量作るのには不向きです。

チョコレートを作る上で欠かせないテンパリング。色々な方法がありますが、どれにも共通するのが温度管理。慣れてくると見た目で判断もつきますが、慣れるまでは温度計をちゃんと使用するようにしましょうね。

最初のうちは冷蔵庫に入れて、すぐ固まるか、艶があるかなどテンパリングがとれているか確認してから作業を行って下さい。

テンパリングをマスターしてツヤツヤの宝石のようなチョコレートを作りましょう!

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