マドレーヌは、フランスのロレーヌ地方、コメルシーの伝統的な焼き菓子です。
貝殻状の型で焼き上げた、マドレーヌはなんとも可愛らしく人気があり、見たことがない人はいないのではないでしょうか。
そんなマドレーヌの発祥は諸説ありますが、その中で最も有名な話をご紹介します。
1755年、当時ロレーヌを収めていた公主スタニスラス・レクチンスキーが、コメルシーで宴会を開いた際、お抱えの菓子職人と喧嘩をしてしまい、宴会の最中、菓子職人が帰ってしまうという事件がありました。
困った彼は、厨房にいた女中に何か作るように命じたところ、彼女は黄金色の帆立形をした焼き菓子を持ってきたのです。
それがとても美味しかったことから、スタニスラス公が作った女中”マドレーヌ・ポーニュ”の名前を取り、マドレーヌと名付けました。
このお菓子は瞬く間に、コメルシーで広がり、地方の特産菓子としての地位を手に入れました。今でも、マドレーヌのことをマドレーヌ・コメルシーと呼ぶことがあるのは、この頃の名残りですね。
他の説としては、1661年にコメルシーのマドレーヌ・シモニンがベニエの生地を改良して作ったという説や、アヴィスという料理人がカトルカールの生地をもとに作り、彼の愛人の名をつけたという説があります。
たくさんの説があるのは、それだけマドレーヌがシンプルで多くの人に作られ、人気があったからかもしれませんね。
お菓子の中でも非常に簡単な部類に入るマドレーヌ、皆さんも作ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに、マドレーヌが貝殻形なのは、昔の巡礼者が帆立の貝殻を食器として持っており、それをモチーフにして作ったからと言われています。当時の巡礼のシンボルがホタテの貝殻でなければ、今頃違う見た目のお菓子になっていたかもしれませんね。